郊外にある駅の裏手はいまも昔の面影を残していた。 ある人は足早に通り過ぎ、またある人は人待ち顔で佇む。 駅前の自転車預かり所は、そこだけがやけにまぶししく自転車がポツンと光の中で主を待っている。 駅の片隅では母親を待つ子供が寒そうにしていた。それは35年前の自分か。 12月のある日の情景。